賃金ナビ60の使い方 (モデル従業員の例)

 賃金ナビ60の使い方に関してのお問い合わせが、大変増えて参りました。 ご質問の内容も、専門的な活用法だけでなく基本的な項目設定の仕方等も多く寄せられます。
 そこで、ソフトの入力・設定項目の解説やシミュレーションの順序について、基本的な例を挙げて解説いたします。
 ソフトの一層の活用にお役立ていただければ幸いです。


■ モデル従業員 設定条件
生年月日  昭和21年12月2日生れ
定年退職日  平成18年12月末
性  別  男性
配 偶 者  昭和24年4月2日生れ
厚生年金  報酬比例部分: 1,200,000円 (60歳支給開始)
 定額部分  :  600,000円 (63歳  〃  )
 配偶者加給 :  396,000円 (63歳  〃  )

59歳時の
報 酬 額
 給  与  :  400,000円
 夏季賞与  :  400,000円 (1.0ヶ月分)
 冬季賞与  :  800,000円 (2.0ヶ月分)
 年  収  : 6,000,000円 (残業はなしとする)
交 通 費  月額 9,000円


 上記のモデル従業員(○○○タロウさん)を60歳以降に再雇用する場合、 いくらの報酬(給与・賞与)で雇うと効率的なのか、その手取額と人件費はどのように変動するのか。
 そうした雇用条件を決定するための「最適賃金シミュレーション」を行うという事例です。
 基本的には、賃金ナビ60を使って59歳時点の報酬額(年額)の約50%程度をめやすにシミュレーションを進めるという前提とします。


■ シミュレーション対象者の設定

 まず最初に、シミュレーション対象者の「性別」「生年月日」を設定します。 対象者が「配偶者加給年金」を受給できる場合には「配偶者の生年月日」も設定してください。(画面@)
画面@(※画面をクリックすると原寸大表示されます。)



■ 基本項目の設定

 この画面(画面A)では、対象者をシミュレーションする上での基本項目をいくつか設定します。このモデルでは、
1.通勤交通費を月額「9,000円」と設定しています。
2.源泉所得税の控除対象となる扶養親族等の人数を「1人」
  と設定しています。
3.社会保険料等の保険料率は画面のように設定しています。
4.在職老齢年金と高年齢雇用継続給付の併給調整を「する」
  と設定しています。
5.高年齢雇用継続給付の新旧選択を「新制度対象者」と設定
  しています。
画面A(※画面をクリックすると原寸大表示されます。)



■ 年金額等の設定

 この画面(画面B)では、対象者の年金に関する条件を設定します。このモデルでは、
1.配偶者加給の有無を「あり」と設定しています。
2.年金の受給方法を「本来支給」と設定しています。
 ※本来支給:繰上げ受給をしない通常の受給方法
3.年金の源泉所得税の徴収を「する」と設定しています。
4.60歳台前半の年金額の報酬比例部分を「1,200,000円」と
  設定しています。
5.同じく定額部分の年額を「600,000円」と設定しています。
6.厚生年金基金については加入していないので「0円」と設
  定しています。
画面B(※画面をクリックすると原寸大表示されます。)



■ 試算条件の設定

 この画面(画面C)では、シミュレーションの様々な条件を設定します。このモデルでは、
◆60歳到達時等の賃金月額
1.60歳到達時の賃金月額を「409,000円」と設定しています。
◆現在の報酬額
 ※「現在の報酬額」とは基本的には59歳時点(60歳到達前)
  の報酬を意味していますが、60歳到達後に報酬を変更する
  場合等は変更前報酬と考えて問題ありません。いずれの場
  合も、30通りの新報酬のそれぞれの差額を表示するための
  基準報酬となるものです。
1.報酬変更前の時点で、社会保険(厚生年金と健康保険)と
  労働保険(雇用保険と労災保険)に、それぞれ「加入」し
  ていると設定しています。
2.60歳までの給与を「400,000円」と設定しています。
3.手当等及び控除額は「0円」と設定しています。
4.現在の賞与の受給額(過去12ヶ月以内の受給額)をそれぞ
  れ「400,000円」「800,000円」「0円」と設定しています。
 ※この賞与額が、現在の報酬における年金の計算基礎(=標
  準賞与額120万円)となります。

5.現在の報酬に「年金を表示する」「雇用継続給付を表示す
  る」と設定しています。
 ※現在の報酬に年金と雇用継続給付を含まずに新報酬と比較
  したい場合は、この設定を「表示しない」としてください。
◆新報酬額
 ※「現在の報酬額」をいくらに変更すると、どのように手取
  額や人件費が変化するかを、「一度に30通りの新報酬と比
  較」することができます。
1.新報酬においても、社会保険(厚生年金と健康保険)と労
  働保険(雇用保険と労災保険)に、それぞれ「加入」して
  いると設定しています。
2.新報酬の給与のスタートとなる値を「400,000円」と設定
  しています。
3.新報酬の賞与の受給額(過去12ヶ月以内の受給額)を、
  「200,000円」「400,000円」「0円」と設定しています。
 ※この場合、給与を引き下げた時の手取額の変化を検証する
  ために、賞与は「現在の報酬の50%で固定」しています。
 ※新報酬においても、この賞与額が現在の報酬における在職
  老齢年金の計算基礎(=標準賞与額60万円)となります。

◆試算の対象
1.在職老齢年金の計算は「60代前半(定額部分の開始前)」
  を指定しています。
 ※モデル従業員は「昭和21年12月生れの男性」ですので「定
  額部分の開始前」とは60歳〜62歳、「定額部分の開始後」
  とは63歳〜64歳をさすことになります。
2.雇用継続給付の計算は「計算する」を指定しています。
 ※勤続期間が5年未満で雇用継続給付の受給資格がない場合
  等は「計算しない」としてください。
画面C(※画面をクリックすると原寸大表示されます。)



■ 手取額の変化(グラフ)

 これまで設定した条件を元に、シミュレーション結果をみると以下のようになりました。(画面D)
 グラフをよくみると新報酬ケースNoの10〜20番目のあたりが、「給与を下げても手取額が減らない報酬範囲」だということが分かります。
画面D(※画面をクリックすると原寸大表示されます。)



■ 手取額の変化

 前出の画面Dで、新報酬ケースNoの10番目は給与「31万円」です。 そこで「31万円」を基点として手取額を確認してみると、新報酬の範囲では「24万円」の給与にした時にもっとも手取額が多くなる(★)ことが分かります。(画面E)
 この場合、給与を「40万円」から「24万円」へと「16万円引き下げ」ても、在職老齢年金と雇用継続給付を含めた月次の手取額の合計は「約6.7万円」しか減りません。
画面E(※画面をクリックすると原寸大表示されます。)



■ 人件費の変化

 給与が「40万円」の場合と「24万円」の場合とで、年間の人件費及び手取額の差を比較すると以下の画面(画面F)のようになります。
 もし給与を「40万円」から「24万円」に引き下げると、人件費を年間で「約288万円」節減できるのに対し、手取額は「約126万円」しか減りません。
 また給与を「40万円」から「20万円」に引き下げた場合では、人件費を「約343万円」節減できるのに対し、手取額は「約148万円」しか減らないことが即座に分かります。
画面F(※画面をクリックすると原寸大表示されます。)

 以上は、賃金ナビを活用した報酬シミュレーションのほんの一例ですが、このようにして試算条件をさまざまに変えて行きながら、従業員と会社の双方にとっての「最適な報酬」のシミュレーションが可能となります。



■ 年金受給額計算の注意点

 在職老齢年金の受給額をシミュレーションする場合に、気を付けなければならないポイントがあります。
 それは、59歳から60歳にかけて、賞与の支給額を変更(主に減額)する場合に発生します。
 例えばこのモデルの従業員の場合、賞与は以下のように支給されます。
59歳の夏期賞与 平成18年7月 40万円
59歳の冬期賞与 平成18年12月 80万円
60歳の夏期賞与 平成19年7月 20万円
60歳の夏期賞与 平成19年12月 40万円

 一方で、在職老齢年金の計算基準は「総報酬月額相当額」ですが、それは「その月の標準報酬月額」に「過去12ヶ月間の標準賞与額の合計の1/12」を加えたものです。
 したがって、60歳以後の賞与が年間「60万円」だとしても「過去12ヶ月間の標準賞与額」は「120万円」から、いきなり「60万円」になる訳ではなく、以下の表のように段階的に下がっていきます。
  期間 過去12ヶ月の標準賞与額 賞与額の1/12
@ 平成19年1月〜 40万円 + 80万円 10万円
A 平成19年7月〜 80万円 + 20万円 8.3万円
B 平成19年12月〜 20万円 + 40万円 5万円

 そのため、賞与を減額した翌年の在職老齢年金は「過去12ヶ月間の標準賞与額の合計」に応じてシミュレーションをする必要があるということになります。
 ちなみに、上述のモデルの例における在職老齢年金の金額は上表Bの金額です。@及びAの年金額も忘れずにシミュレーションを行ってください。

 ※賃金ナビプラスでは、60歳から64歳までの60ヶ月間の「総
  報酬月額相当額」を月単位で自動計算していますので、こ
  の注意点は必要ありません。より簡単で正確なシミュレー
  ションができ、機能の充実した賃金ナビプラスの活用をお
  すすめします。





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※上記の計算及び比較は賃金ナビ60により行っています。
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